バーキン

多くの女性の憧れの的、エルメスの「バーキン」。バーキンの購入予約リストは2年待ちともいわれ、もう1つの代表作エルメスの「ケリーバッグ」と並んで非常に人気の高いバッグです。名前は聞いたことがあるけど、どんな魅力があるのか、なぜ高額なのかをご存じない方もいらっしゃるかもしれませんね。こちらでは、エルメスのバーキンの魅力に迫ります。

バーキンの歴史

エルメス ジェーンバーキン バーキンが誕生したのは、1984年。女優のジェーンバーキンが、籐のバッグにたくさんの荷物をごちゃごちゃと入れて持ち歩いていたところ、偶然飛行機に居合わせたエルメスの5代目社長ジャンルイデュマがそれを見て、彼女のために何でも詰め込めるバッグを作りたいと考えたことがきっかけだといわれています。荷物が多く整理が苦手な彼女のために、どんなものでも、とにかくたくさんの荷物を入れることをコンセプトに製作されました。ジェーンバーキンは、ファッションにおいては時代の象徴とされている女性で、ジーンズの着こなしなどスタイリッシュなファッションが多くの女性を魅了してきました。バッグをプレゼントされたジェーンバーキンは、どこへ行くにもバーキンを愛用していました。その姿を雑誌やテレビが報道したことから、バーキンの人気は広がっていったのです。

実はバーキンには原型があり、それが「オータクロア」と呼ばれるバッグです。オータクロアは1892年に誕生した歴史あるバッグで、主張しすぎない控えめな美しさが特徴。皮革を使用したアイテムを製作しているブランドとして注目されていたエルメスの中でも、一躍の人気アイテムとなります。バーキンはオータクロアを基に作られましたが、バーキンの人気に火が付いたことでオータクロアは影をひそめる形となりました。エルメス=バーキンというイメージが定着したものの、もちろん今でも、オータクロアはエルメスの歴史あるバッグとして愛されています。オータクロアがなければ、現在のバーキン人気はなかったといっても過言ではありません。

バーキンの特徴

エルメス バーキン バッグにたくさんの荷物をごちゃごちゃと詰め込んでいたことからインスピレーションを受けたバーキンは、その由来からもわかるように、開口部が広い作りで、たくさんの荷物を詰め込めるよう大きめに作られているのが特徴です。元来バッグは女性が片手でも持てる大きさのものが多く、あまり大きいと持ち歩きにも不便ですしファッションもやぼったくなってしまいます。しかしバーキンは、たっぷりの荷物が入る上に、スマートな外見が魅力。バッグの中にあしらわれたポケットも機能性に優れており、見た目も抜群なのです。高級ながら気取らない存在感から、スーツ姿にも、ジーンズスタイルにも、シーンを選ばずに持つことができます。

バーキンの価格と高い理由

バーキンのバッグは、最低価格でも100万円はします。大きさや素材によっても異なりますが、バーキン35cmでは140万円~300万円、30cmでは120万円~200万円、25cmでは100万~200万円が定価で、素材によっては600万円の値が付くものもあります。エルメスの中でも、バーキンは生産数が少ないバッグとして有名です。予約待ちは1~2年ということから、その人気の程を伺うことができます。市場に出回っている数が少ないからこそ、例え中古品であっても高値が付けられているのです。また、エルメス独自の長年によって培われた技術とクオリティの高さにも秘密があります。バーキンには、製造年や製作職人ナンバーが刻印されていますが、これはそのバッグを一人の職人が作り上げたということ。一つのバッグを製作するのに、たった一人の職人がすべての工程を担っているのです。また、購入後は半永久的にアフターフォローがあるのも特徴です。職人が丹精こめて作り上げ、半永久的にフォローがあるとなれば、これほどの値段が付けられていることにも納得です。

バーキンのサイズの種類

バーキンには、5種類のサイズがあります。初めて購入される方は、実際に持ってみて自分にぴったり合ったサイズのものを選ぶといいでしょう。バーキンのサイズは、横幅のサイズで「45cm」「40cm」「35cm」「30cm」「25cm」があります。

エルメスバーキン  25

エルメス・バーキン25

小柄な日本人向けに作られたといわれているのが、25cmです。こちらは、横幅25cm、高さ20cmという一番小さなサイズです。普段使いはもちろん、パーティなどにもぴったり。エルメスのもう一つの人気「ケリー」に比べるとバーキンは比較的重いため、身軽に持てる大きさということでエルメス・バーキン25を選ぶ方も多いようです。

エルメスバーキン  30

エルメス・バーキン30

横幅30cm、高さ22cmのバーキンです。見た目は小さいのですが、バーキンの特徴である大容量はこちらにも反映されています。スマートに持ちながらも、しっかりと収納してくれるでしょう。海外では「日本人用」といわれるほど、日本人から愛されているサイズです。

エルメスバーキン  35

エルメス・バーキン35

一番人気があるのが、35cm。高さは25cmと、何でも入る、最もバーキンらしいサイズがこちらです。丁度いい持ち心地と大きさで、海外でも人気があります。ふたを閉めずにたっぷりの荷物を持ち運ぶのがバーキンの基本ですが、その持ち方で最もかっこよく見えるのがこのサイズといわれています。

エルメスバーキン  40

エルメス・バーキン40

横幅40cm、高さ30cmのバーキン。ジェーンバーキンのために製作された大きさが、このバーキン40です。仕事の書類はもちろん、ちょっとした旅行にも最適。大きめのバーキンは、最近男性にも人気が高まっているといわれています。

エルメスバーキン  45

エルメス・バーキン45

横幅45cm、高さ30cmの存在感のあるサイズです。こちらのサイズはもともと海外向けに作られたもので、日本ではあまり取扱いがありません。旅行用としても使用できるサイズ感です。

エルメス ショルダーバーキン

ショルダーバーキン

バーキンの横長版で名前の通りショルダーバッグとして使用できます。

エルメス タイニーバーキン

タイニーバーキン

バーキンをミニサイズしたモデル。バーキン30以上のモデルに付けると可愛らしいアクセサリーのようになります。

エルメス オータクロア  28・32・36・40・45・50

オータクロア 28・32・36・40・45・50

はじめに少し紹介したモデルのバッグ。バーキンの原型となっており、大きさは少しバーキンより縦長になっております。途中でリニューアルもありカデナを付ける金具の部分が丸から四角に変更されています。

バーキンで人気の革素材

バーキンは、使われている素材によって雰囲気も異なりますし、価格も異なります。どのような素材が使用されているのでしょうか? 人気の革素材を見てみましょう。

トゴ

エルメス トゴ 正式名称を「ヴォークリスぺトゴ」という、1997年に発表された素材です。雄の子牛の革を使用しています。エルメスの中でも最も定番となっている素材で、適度な柔らかさがあり、傷もつきにくく大変扱いやすいのが特徴。カジュアルながら高級感があるので、フォーマルな服装からカジュアルな服装まで様々なシーンで活躍してくれるでしょう。一見似ているトリヨンクレマンスとの見分け方としても知られていますが、トゴには血筋が見られるのが特徴。革一つひとつの個性を楽しめるでしょう。

トリヨンクレマンス

エルメス トリヨンクレマンス 雄の成牛の革を使った、かつては「ムー」と呼ばれていた素材の一つです。エルメスの中でも、主にガーデンパーティに使用されています。適度な張りがあり、くたっとした柔らかい質感です。革が柔らかいので、高級感を楽しみたい方に人気があります。トゴとは違い血筋がないため、見た目の美しさも楽しむことができます。

オーストリッチ

エルメス オーストリッチ 主に南アフリカやオーストラリアを原産地とする、ダチョウの革を使用した素材。「クィル」や「シボ」と呼ばれる羽毛の痕が水玉のような模様となり、バッグの気品を引き立てます。エルメスでは、斑紋の美しい部分を厳選して使用しています。発色がよく、カラー展開も豊富。軽くて丈夫なので、様々なモデルで採用されている素材です。

リザード

エルメス リザード 主に東南アジアを原産地とするトカゲのレザーを使用した素材。本来の質感を表現しているため、できる限り手を加えずにバックとして加工しています。希少価値も高く、高級感のある素材です。そのため、ほかの素材よりも比較的太陽光や人工光に弱いため、日焼けには注意が必要になります。

クロコダイル

エルメス クロコダイル エルメスのクロコダイル素材には、「ポロサス」「ニロティカス」「アリゲーター」「ニロティカスマット」「アリゲーターマット」などの多くの種類があります。ポロサスは、クロコダイルの中でも最高級の素材です。鱗の四角が細かく揃っていることが特徴。現在は入手が大変困難なため展開は限られていますが、エルメスが独自養殖をしているワニの革を使用しています。大変希少価値の高い素材です。エルメスのクロコダイルの中でも主流となっているのが、ニロティカスでしょう。ニロティカスは、「ナイルクロコダイル」というワニの革を使用しており、ポロサスよりもやや斑が大きめとなります。こちらも現在では入手が困難なため、エルメスが独自養殖をしているワニの革を使用しています。アリゲーターは、「ミシシッピーワニ」とも呼ばれるワニの革を使用しており、クロコダイルに比べると大きめの鱗を持つことが特徴です。クロコダイルは、全種類とても希少な素材となっています。手に入れるのも困難ですが、だからこそクロコダイルのバーキンを手に入れられたら、一生ものに間違いありません。

エルメスのバーキンには、多くの女性が憧れる理由があります。一つ持っているだけでも、あらゆるシーンで活躍してくれるバーキン。人気すぎて入手はなかなか困難ですが、ぜひ手に入れてみてはいかがでしょうか。